皆さんはドルコスト平均法という言葉を聞いたことがありますか?
聞いたことはあるけど、よくわからないなぁ
ドルコスト平均法は初心者にとっておすすめの投資手法です。
今回はそのメリット・デメリットを説明します。
一括投資か積立投資か
まず、投資商品を買い付ける方法には、一括投資と積立投資の2種類があります。文字通りですが、一括投資は自分が持っている資金をすべて使用して自分のタイミングで買い付ける方法、積立投資は一定金額もしくは一定口数を定期的に買い付ける方法です。
今回、解説するドルコスト平均法というのは、「積立投資」で買い付ける手法になります。
さらに詳しく解説します。
ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品を常に一定の金額で、かつ時間を分散して定期的に買い続ける手法のことをいいます。
この手法で金融商品を購入し続けた場合、その商品の価格が低いときの購入量は多くなり、価格が高いときの購入量は少ない状態となります。
一括投資をした場合とドルコスト平均法で積立投資した場合、それぞれどれくらいの口数を買い付けることができるのでしょうか?具体例を使って計算してみましょう。
例:100万円の資金を使って、毎月10万円ずつドルコスト平均法で買い付ける場合
次のような価格変動をする金融商品があったとします。
このような価格変動をする金融商品を買い付けた場合、購入できる口数は以下のようになります。
①一括投資・・・10000円の時に100万円分を一括で購入するので、100口買うことができる
②ドルコスト平均法・・・価格が安いときには多く買う、価格が高いときには少ししか買わないことになるので、結果的に109.75口買うことができる
このように、同じ投資資金100万円であっても、ドルコスト平均法で積み立てた場合の方がより多くの口数を買い付けることができました。
投資の初心者には、このドルコスト平均法を使った積立投資が非常にオススメです。ドルコスト平均法には以下のメリットがあります。
ドルコスト平均法のメリット
①価格変動を気にする必要がない
②高値掴みのリスクが少ない
③開始タイミングを悩まなくてよい
④投資初期にまとまった資金がなくてもOK
順番にドルコスト平均法のメリットを解説していきます。
①価格変動を気にする必要がない
投資というと、日々変動する価格に「よし!今日は上がってるぞ!」、「あぁ~、今日は下がってるよ~」と一喜一憂する人も多いのではないでしょうか?
この一喜一憂することが投資初心者にとっては大敵となります。少し下落したくらいで仕事がつかなくなってしまう人も少なからずいると思います。このような状態は精神的にもよくありませんよね。
初心者にとって、この価格の変動を気にしないようにすることが、投資を長く続ける秘訣となります。
ドルコスト平均法は価格変動リスクを時間軸の分散によって抑える手法なので、そもそも価格を気にする必要がありません。
毎月いくらずつ積み立てていくのか、そしてどれだけの期間続けていくのかを決めるだけでOKです。たとえ価格が下落することがあっても多く買えるので、むしろ投資家にとって有利になるのがドルコスト平均法です。そのため、初心者が余計なことを気にすることなく取り入れることができる手法になります。
②高値掴みのリスクが少ない
安いときに多く買い、高いときには少なく買うのがドルコスト平均法です。
これは相場の典型的な失敗パターンである高値掴みを防ぐ効果があります。
人間心理として購入しようとしている金融資産の価格が上昇していると勢いを感じ、「まだまだ上がるのではないか」と考えて、買いたい気持ちが強くなります。そうして買ったものの、それが天井近くの高値だったという失敗をする人がたくさんいます。もちろん私もその一人でした。
ドルコスト平均法は、人間的な感情を入れることなく粛々と一定額分ずつ購入するので高いときには多く買えず、結果として高値掴みを防いでくれます。
③開始タイミングを悩まなくてよい
安いときに買って高くなったら売る、というのは株式などさまざまな投資の基本的な流れです。
信用取引やFXなどでは売りからのエントリー(空売り)もあるので、高いときに売って安くなったら買い戻すといったことも可能ですが、どちらにしても売買のタイミングを見極めなければなりません。
投資初心者にとって売買のタイミングを読むことなんて絶対にできません。ですので、買い付けのタイミングを見極める必要がない手法をとる必要があるのです。
仮に始めるときが高値圏であっても、ドルコスト平均法では少なく買うことしかできないので高値掴みをすることもありません。いつでも投資を始められるのは大きなメリットです。
④投資初期にまとまった資金がなくてもOK
ドルコスト平均法は一括投資ではないので、最初に投資したい金額を全額用意する必要はありません。
仮に資金が多くあったとしても複数回に分けて購入することになるので、最初にまとまったお金があってもあまり意味がありません。
投資を始めたいけどまとまった資金を用意するのは難しいという人は多いと思いますが、ドルコスト平均法はむしろそのほうが好都合です。
毎月無理のない金額を一定額ずつ積み立てて、資産の形成を目指します。配当や分配金が出る金融資産を購入する場合は、その収入を再投資するのが理想です。そうすることで複利効果が生まれ、加速度的に資産が増えていきます。
ドルコスト平均法にはこのようなメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
それは、以下のとおりです。
ドルコスト平均法のデメリット
①狙ったタイミングでの投資はできない
②手数料負担が大きくなりやすい
③結果が出るまでには時間がかかる
④大きなリターンは期待できない
⑤価格が上昇し続けた場合、一括投資のほうが有利になる
順番にドルコスト平均法のデメリットを解説していきます。
①狙ったタイミングでの投資はできない
相場の動きを予測してタイミングを狙い、見事に的中すれば大きな利益を手にすることができます。しかしドルコスト平均法はあえて相場を予想しない投資法なので、タイミングを狙う投資には不向きです。
もっとも、そのおかげでいつ始めたとしても同様の効果が得られ、価格変動のリスクを抑えることができるのですから、このデメリットはメリットの裏返しです。
②手数料負担が大きくなりやすい
一括投資だと金融資産を購入する回数が最初の1回だけなので、手数料を負担する回数も1回だけです。
しかし、ドルコスト平均法はあえて購入回数を多くするため、その都度手数料がかかることになります。1回当たりの手数料が微々たるものだったとしても、長期間になるとバカにできない金額になることもあるでしょう。
この問題については、株や投資信託などの購入手数料を銘柄や口座選びで無料にしたり、安く抑えたりすることもできます。長期目線で積立投資を考えている人はコストもしっかり精査したいところです。
③結果が出るまでには時間がかかる
ドルコスト平均法は少なくとも5年、10年といった時間軸で取り組む投資法です。
そのため短期で利益を上げたい投資家には適していません。たまたま積立投資を始めたときが相場の下落局面であれば含み損を抱えることもあるので、長い目で結果を求めていく必要があります。
むしろ価格の下落局面は多く買えるチャンスと捉えて粛々と買い続けるのが、ドルコスト平均法で最も成功できる思考です。
結果が出るまで時間がかかって当然、そんなものだと考えるようにしましょう。
④大きなリターンは期待できない
投資はリスクとリターンが常に表裏一体で、同じレベルになります。リターンが大きな投資はリスクが大きく、失敗する確率が高くなります。
ドルコスト平均法はリスクを抑えることができる手法なので、その反面リターンも少なくなります。
しかし、投資は勝つことよりも負けないことが重要です。負けない投資を続けているからこそ勝てるチャンスが生まれ、長期的な目線で資産を増やしていくことができます。大きなリターンを狙ってこそ投資、と考える人は、ドルコスト平均法による積立とは別に株やFXといったハイリターン投資に取り組んでみるとよいでしょう。
⑤価格が上昇し続けた場合、一括投資のほうが有利になる
相場は水物で未来を完全に予想することは不可能です。その不確実性に対するリスクヘッジとしてドルコスト平均法があるわけですが、相場が一方的に上昇する局面の場合、ドルコスト平均法は不利になります。
この場合、最初に一括投資をしたほうが価格上昇による利益(キャピタルゲイン)を得られるため、投資をする金融商品の性質によって使い分けるのが理想です。一方向に進みやすい金融商品よりも、上がったり下がったりを繰り返す性質の商品のほうがドルコスト平均法に適しています。
今回は、初心者におすすめの投資手法「ドルコスト平均法」について解説しました。
皆さんもドルコスト平均法での積立投資を始めてみましょう!下の記事で、つみたてNISAについて解説していますので、ぜひご覧ください!
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